「松阪から四季 納豆の如く」 納豆職人 奥野 敦哉 |
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「第三章 納豆専門店と名乗りましょう」 |
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今日も熱い釜の前で暑いと喘ぎながら作業しております。さて、今回は「納豆専門店」という言葉についてふれていきたいと思います。「当店は納豆だけを作っています。他のものは作っていません。」だから納豆専門店なのです・・・そこで終わってはこのコーナーは要りません。実は私はこの「納豆専門店」という冠を大切に考えています。ではなぜ大切なのでしょうか、それは当店が「最後に立ち返る基本の姿勢とは何か」を考えることでもあります。 全国では納豆だけでなく他の物も作っている納豆屋さんはたくさんいらっしゃいます。納豆を作る傍ら「もやし」や「煮豆」「豆腐・豆乳」を作ったり、「麹」「甘酒」を作ったり、今話題の「テンペ」であったり、はたまた兼業農家さんであったり。それぞれの製造メリットを考えてされているのです。逆に考えますと納豆だけでは運営が難しい業種といえるのかも知れません。もちろん、納豆を含めそれぞれの商品で全国的なブランドを展開されている大きなメーカーさんも多くいらっしゃいますし、多分野製造の有効さは言うまでもございません。 お叱りをいただくことを覚悟で私はあえて言います「奥野納豆よ、よくぞここまで納豆だけで生き残った!よくぞ今まで納豆だけしか作らなかった!」と。 叱られついでにさらに暴走します。当店の強みはダブルブランドです。これは「東京納豆」と「三重の地納豆」のことです。 |
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当店公式キャラクターです。若おかみ作です。 |
まず、東京納豆は地元スーパーさんの特売品などでも扱っていただくもので昔から連綿と作り続けている納豆です。 三重県の皆様にとっては"まいどおなじみ"で"どのメーカーが作っているか知らないが納豆はこれを買っている"お客様が多い、そういう納豆です。もちろん特売になるような価格、東京納豆は日常品スタンダード納豆なのです。 次に、三重の地納豆は地元三重県産大豆を手作りでつくる"こだわり納豆"です。 地産地消が叫ばれる中、三重の地納豆は地元大豆と三重県各地の特産品を合わせて納豆を表現するシリーズでそのラインナップは「自然水納豆 森の番人(地元清流の宮川ナチュラルウォーター森の番人仕込みの納豆)」「伊勢ひじき納豆 |
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(特産伊勢ひじきと一緒に発酵した磯の香りのする納豆)」「松阪モロヘイヤ納豆(日本有数のモロヘイヤ産地、松阪のモロヘイヤと一緒に発酵した滋養納豆)」など、現在7種類を展開しています。こちらは価格も242円ですから東京納豆の倍ほどの価格になります。
販売先も特産品おみやげ売場、百貨店、地産地消ショップ、自然食品店、あと、各地で行われる伊勢志摩物産展出品です。三重の地納豆はバリバリの嗜好品高級納豆ということになります。この日常品と嗜好品の2ジャンルが並列するのが当店の特徴なのです。 |
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当店ではさらに驚くべき逆転現象を引き起こしています。逆転現象とは通販です。普通、通販は希少価値のあるもの、普段お目にかかれないものが流通します。三重の地納豆は珍しさから一定の通販流通があるのはわかるのですが、当店では実は東京納豆のほうが通販されます。これは都市に向けて宅配されるのですが、その内情は仲間内で共同購入されるらしいのです。東京納豆は特売品になるとはいっても"国産大豆100%、保存料化学調味料無添加たれ付き、元始活性水仕込みの納豆"の内容なのです。関東、名古屋、福岡をはじめ日本各地で口コミだけで広げていただいているみたいなのです。 |
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「納豆専門店」として腕の見せ所は"スタンダード"東京納豆だったのです。安価なものでどこまで内容を良くできるかが当店の勝負どころで、価格制約のタガが外れればどこまでも好きなだけ突き進むよというのが当店のスタイルなのだと思えるのです。 |
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7月2日にOPENしました。 工場敷地内にございます。 |
納豆専門店としてどこまでも好きなだけ・・・。どこへ?どれだけ?私は好きなところへ進みます。それがたとえ納豆の範疇を超えたところでも納豆に関わることでしたら当店の出番です、だって専門店なのですから。 次回は今年開店した当店直売店「たぬみせ」について書いていきます。 |
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※ 東京納豆は日本各地の入札された大豆をブレンドすることで安価を実現しています。 |
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