「松阪から四季 納豆の如く」 納豆職人 奥野 敦哉 |
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「第十二章 君も納豆体験を・・・」
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毎年、ゴールデンウィーク期間中や夏休みに入りますとお子さん連れのご家族で当工場は賑わいます。 実は当工場では観光雑誌に大々的には載っていませんが"納豆体験ツアー"というタイトルで納豆の手作り教室を行っているのです。 参加をされるお子さんはドキドキ顔で、親御さんはワクワク顔をして来られます。お客様は「これから何が始まるのだろう?」「納豆体験って何をするのだろう?」「工場の中はどうなっているのだろう?」という顔をして来られるのです。 納豆体験ツアーの内容を堅苦しい文で説明させていただいても、それほど楽しくはないでしょう。せっかくですから読者の皆様は「食の科学愛読者ご一行様」として擬似体験を行っていただきましょう。 それでは読者の皆様"誌上"納豆体験ツアーをお楽しみくださいませ・・・。 奥野(以下・奥)「皆様、食文化の街、松阪の地へようこそおいでくださいました。本日ご案内をさせていただきます納豆職人のオクノアツヤと申します、どうぞ宜しくお願いいたします。」 少年お客様(以下・子)「あの〜、工場内で写真撮っても良いですか?」 奥「あ、はい、もちろんOKです。ウチは基本的に全面公開ですから遠慮なくどこでも写真を撮っていただいて大丈夫です。学校の夏休みの自由課題ですか〜、分からないことやもっと詳しく知りたいことがございましたら遠慮なく中断して質問を投げてくださいね。何でも答えますから!私が知らないことでしたら、後から調べてお答えしますよ。」 ご両親お客様(以下・父または母)「よかったね〜。ノートと鉛筆持った?写真のほうは私に任せて。」 |
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奥「それでは納豆体験ツアーの流れを説明させていただきます。まず、工場に入っていただいて"納豆がどのように造られていくのか"を作業順番に沿ってご案内させていただきます。ひととおり納豆ができる行程を分かっていただきましたら、次に実際に"納豆ワラ包み体験"を皆様にしていただきます。ワラ包みが出来ましたら、場所を応接間に移し"あなただけの納豆ラベルデザイン作成"を行って完了です。最後は記念撮影もございますのでどうぞ楽しんでお過ごしくださいませ。」 |
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納豆体験イメージ | ||||||||||||
挨拶も済み、お客様には実際に工場へ入っていただきます。工場内、納豆釜の場所まで移動しお客様の前で私は説明に入ります。「今から納豆が出来あがるまでを説明させていただきます。 まず、最初に・・納豆が出来ていく仕組みは日本各地で大たい同じなのですが、気候風土が違えば、また工場が違えば、それぞれ作り方に独自の順序、方法が入りますので今回はこの三重県松阪市の工場、当店の作り方の説明といくことで進めさせていただきます。」 これは納豆工場それぞれの製造工程・レイアウトや企業秘密があり秘伝があるところ、また気候が違えば納豆発酵の温度時間設定も変わってくるので、もし他の納豆屋さんを見学されたときに違和感を感じられるといけませんので"ウチの作り方です"と最初にお断りしておかなければならないからです。 |
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そして製造工程の説明に入ります。 |
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工場の案内をまずします。 | ||||||||||||
3.「納豆菌はこれです!」私は無菌水で希釈した納豆菌(熱々の豆にふりかける直前のもの)をオタマにすくってお客様に見せます「無味無臭です。」と言って納豆菌水の匂いを皆様に確かめていただきます。 ここでは視覚・聴覚に加え"嗅覚"も動員するのです。この後、納豆菌原液も取り出し、納豆菌の詳しい説明を行います。この時点でツアー参加者は納豆ものしり博士になっているのです。 4.納豆(納豆菌付き蒸し大豆)を容器に盛り込む作業を見学します。 この体験活動を始めてから判ったことなのですが"ネバネバした納豆を容器に移す"と思っている人が多いのです。正解は"容器に移してからネバネバさせる"なのです。それは次の発酵室(むろ)の説明時に話をおり込みます。 5.容器に詰めたものは醗酵室(むろ)に移動します。私たちも一緒に移動します。38℃の温かい醗酵室(むろ)の中「この部屋が納豆菌が最もよく育つ処なのです。 この温々とモア〜とした状況で納豆はネバネバになっていくのです。今はまだネバネバしていません、コロコロしています。これが一晩寝て、納豆菌が殖え、ネバを作っていくのです。 大豆と納豆菌の関係は、納豆菌にとって大豆はエサであり、納豆菌が活動をしているあいだ酵素を出して大豆の養分を分解し、ネバを作り出すのです。納豆菌が増え、ネバができたら、もう一晩、今度は低温で冷やして安定させます。この一連の作業を"発酵と熟成"と云うのです。」 |
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※納豆菌は熱に強い(120℃まで生きています) | ||||||||||||
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